PPテープストーリー T   2000.12

 現在使われているープの中で、過去10年間最もシェアを伸ばしてきたのがOPPテープ(以下PPと表記)であろう。特に円高に伴っての輸入品の著しい増加は日本のテープメーカーの海外OEMや海外メーカーの輸出ドライブに拍車をかけてきた。台湾、韓国、タイ、中国のアジア圏のみならず、アメリカ、イタリアなど欧米からの輸入も見逃すことはできない。日本粘着テープ工業会の資料によると「1995年1月〜12月の輸入PP(OPPフィルムの糊つきのもの)の数量(uベース)は初めて国産品の数量を上回り約51%となった」とあり、海外製PPテープ花盛りといった感がある。
 日本国内における生産国別のシェアをみてみると95年のデータでは、台湾50%アメリカ20%、韓国12%、イタリア2%、となっており、このあとに中国、フィリピン、マレーシア、インドネシアと続いていた。現在はどうであろうか? 当時、四維企業(フォーピラー)を中心に地球総合(グローブ)、亜州化学など台湾製「アクリル系PPテープ」が圧倒的に多かったが、最近ではその1部は中国やマレーシア、タイへとシフトしてきている。又、ゴム系粘着剤のPPは未だに韓国やタイが強いとされていて、日本の大手メーカーも現地生産をしている。95年4月〜96年3月のPPの対前年度の数量ベースの伸びを他のテープと比較しても、クラフトの97.1%、スフ布102.5%、に対してPPは105.6%という実績を残している。
 何故、PPは伸びてきているのだろうか? いくつかのファクターが考えられる。

 1:コストメリット(他の包装テープと比較して)
 2:多機能(重ね貼り、字が書ける、フィルム強度等)
 3:豊富なフィルム厚(40〜160ミクロンまで)
 4:機械適性(1500、2000m巻きが可能)
 5:クラフト、クロス、布テープ等に対する代替性。
 6:海外メーカーの対日戦略

 これらの要因のなかで最も重要なのは「6」である。日本のテープメーカーにとって「黒船」となったのが韓国、台湾のメーカーであり、その後の欧米メーカーの韓国、台湾バージョン(OEM生産)であったのは言うまでもない。日本勢は対抗上エコノミータイプを投入。しかし、円高にのる海外勢の価格破壊はとどまることをしらず、遂に海外生産へとシフト。現在では輸入PPを扱っていない日本のメーカーは殆どないといえる。10年前、クラフトテープよりも高価なテープであったPPは現在では最も安いタイプでは2分の1、いやそれ以下になりつつあるし、53ミクロン位の薄手ではガムテープよりも
安いものまである。
 日本の包装テープのマーケットは世界的に、そのGDPからみても非常に大きな市場であると同時に他国に例をみない程、特殊な市場でもある。つまり、クラフトテープとか、ガムテープの存在と、その大きなシェアである。PPが包装テープの市場で大きくシェアを伸ばしてきた現在においてもクラフトテープやガムテープのマーケットシェアは国産PPと比べると比較的安定している。これはPPをよせつけないユーザーが依然として数多く存在していることを示すと同時に、逆に考えるとマスクドニーズは計り知れない程であり、そして正にこの点が外国企業の世界戦略のターゲットにされる所以であると思われる。
 世界で最も厳しいスペックを突きつけるといわれる日本のユーザーはクラフトテープやガムテープをPPに切替えることに強い抵抗感があるのは事実である。しかし最近の格安な輸入テーピングマシンの台頭によりテーピングが簡単にかつスピーディーにできるようになり、所謂「PP用カッターへの抵抗感」という、PPをプレゼンする際、最も問題となるハードルはクリアされつつある。
 今後も外資系を中心に激しい市場争奪が展開されるであろう。

 

 


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